国立扶余博物館で泗沘と陵山里に関する展示を見渡す場面
泗沘の王都を、寺址と文字資料の連なりから読む。
背景を知る国立扶余博物館の展示を、泗沘の王都、陵山里の香炉、仏教美術、瓦という四つの資料群で結び、扶余で何を見れば百済の文化が立ち上がるのかを分かるようにする。

国立扶余博物館は、現在の忠清南道西部に関わる百済の考古学的・文化的遺産を保存、研究、展示する。扶余が百済の泗沘期に都であったことを出発点に、展示室2では泗沘への遷都、陵山里寺址、王室の葬送文化、銘文をもつ木製・石製資料が示される。陵山里寺址で1993年に完全な状態で発見された百済金銅大香炉は、6世紀から7世紀の百済に属する国宝であり、龍、蓮、山、鳳凰と多様な人物・動物像を備える。展示室3の仏像、寺院と塔、王興寺址の舎利容器、金銅製小塔片、外里出土の鳳凰山水文塼を資料ごとに区別すると、扶余の王都文化を出土、造形、仏教、建築材料の重なりとして確認できる。

扶余を国立扶余博物館の展示から読む出発点は、現在の扶余が百済の泗沘期に都であったという事実である。博物館は現在の忠清南道西部に関わる百済の考古学的・文化的遺産を保存、研究、展示しており、扶余だけを一つの代表作で説明するのではなく、出土資料、寺址、文字資料、仏教美術、建築材料を対象に含めている。展示室2は、泗沘への遷都、陵山里寺址と王室の葬送文化、銘文をもつ木製・石製資料を、泗沘の都の生活文化と百済の文化を扱う構成として示す。陵山里石造舎利容器の銘文には、威徳王十三年に当たる567年に陵山里の寺が建立されたことが記されている。王都、寺址、王室の葬送文化、銘文資料を同じ資料種別として扱わず、それぞれが展示室2でどの位置を占めるかを確かめると、次に現れる香炉、仏像、瓦、舎利容器も扶余と泗沘の文脈に沿って読み分けられる。

文脈 01

泗沘の都を、展示の順序からたどる

国立扶余博物館が保存、研究、展示する対象には、現在の忠清南道西部に関わる百済の考古学的・文化的遺産が含まれる。現在の扶余は百済の泗沘期に都であり、展示室2は泗沘の都の生活文化と百済の文化を扱う展示として組織されている。そこでは泗沘への遷都、陵山里寺址と王室の葬送文化、銘文をもつ木製・石製資料が示される。遷都、寺址、葬送文化、銘文資料は、いずれも王都に関わるが、展示室2が並べる異なる種類の資料として区別して確認できる。

展示室2の順序は、扶余が泗沘期の都であったという位置から、陵山里寺址と王室の葬送文化、さらに銘文をもつ木製・石製資料へ視線を移す。この年号を伴う記録は、陵山里寺址を特定の建立年に結び付ける資料であり、王室の葬送文化そのものや他の銘文資料と同一視する必要はない。泗沘への遷都、寺址、葬送文化、銘文資料を分けて置くことで、展示室2が示す扶余の王都性を複数の証拠の配置として追うことができる。

各展示を読む際には、資料を一つの物語へ急いで結び付けず、展示室2で示される手がかりの役割を確かめたい。泗沘への遷都は王都の位置に関する手がかりであり、陵山里寺址は寺院に関する手がかり、王室の葬送文化は葬送に関する手がかり、銘文をもつ木製・石製資料は記録に関する手がかりとなる。とりわけ陵山里の石製舎利容器に刻まれた銘文は、威徳王十三年に当たる五六七年、陵山里の寺が建立されたことを伝える。この年と王名は銘文が示す建立の情報として読み、展示室2に並ぶ他の資料の年代や性格まで同じものとして広げないことが、泗沘の都に残る資料を具体的に見分ける助けになる。展示順序の基準となる。

文脈 02

百済金銅大香炉は何を見せているのか

百済金銅大香炉は、百済時代の6世紀から7世紀に属する国宝で、国立扶余博物館が管理している。博物館は、この香炉が1993年に扶余の陵山里寺址で完全な状態のまま発見されたと説明する。国宝としての位置付け、百済時代の年代、陵山里寺址という出土地、完全な状態での発見は、香炉に関して確認できる別々の情報である。香炉を扶余の資料として置くときも、発見の来歴と国宝指定、年代を一つの説明へ混ぜずに確かめることができる。

香炉の記録された造形には、基部で水の中から上昇する龍、器身の蓮、蓋の山の形、頂部の鳳凰がある。人間、実在の動物、想像上の動物の姿も、この香炉の文様と像の構成に含まれている。基部、器身、蓋、頂部という部位を下から上へ追うと、龍、蓮、山、鳳凰が同じ場所にあるのではなく、器物の異なる位置に配されていることを確認できる。百済金銅大香炉館は2025年12月23日に開館し、香炉室、香りと音の部屋、香りと休息の部屋を備える三層の専用館として博物館が案内している。

香炉の形を確かめるときは、文様を単なる飾りとして数えるのではなく、器物の輪郭に沿って位置を追うことができる。水中から立ち上がる龍は基部に置かれ、蓮の形は器身を形づくり、山の形は蓋に現れ、鳳凰は最上部に配される。さらに人の姿、現実の動物、想像上の動物の姿が加わるため、同じ面に同じ種類の像だけが続く構成ではない。陵山里寺址で一九九三年に完全な状態で発見されたという来歴を確認したうえで、六世紀から七世紀の百済に属する国宝としてこの配置を見ると、基部から頂部までを区別して観察するための具体的な順序が得られる。専用館の三層には香炉室のほか、「香りと音」の部屋と「香りと休息」の部屋が設けられている。

龍、蓮、山、鳳凰の造形が見える百済金銅大香炉
陵山里寺址で見つかった香炉を、出土と造形の両方から見る。

文脈 03

仏教美術から法隆寺への、限定された比較

展示室3は、仏像、寺院と塔、王興寺址出土の舎利容器を通して百済の仏教文化を示す。扶余・窺岩里出土の金銅観音菩薩立像は、7世紀初頭の百済に属する国宝で、国立扶余博物館が管理している。展示室3では、この観音菩薩立像を、寺院、塔、王興寺址の舎利容器に関わる資料とともに確認できる。像の国宝としての位置付けと、展示室3が示す仏像、寺院、塔、舎利容器という構成は、百済の仏教文化を扱う同じ展示室の中でも別の情報として保たれている。

日本との比較について、展示室3が示す明確な手がかりは金銅製小塔片の説明に限られる。博物館は、この小塔片の屋根瓦の溝と破風棟の装飾が、日本の法隆寺五重木塔にも見られると記している。比較できるのは屋根瓦の溝と破風棟の装飾という二つの建築的細部であり、百済と日本全体の関係を一括して示す資料ではない。法隆寺への言及をこの範囲にとどめると、観音菩薩立像、寺院、塔、王興寺址の舎利容器からなる展示室3の百済仏教文化を、博物館が示す資料の範囲で読むことができる。

展示室3では、資料の種類と比較の範囲を切り分けることで、百済の仏教文化をより具体的に追える。扶余・窺岩里出土の金銅観音菩薩立像は、七世紀初頭の百済に属する国宝であり、仏像という資料として位置付けられる。一方、王興寺址の舎利容器は、寺院に関わる容器で、青銅、銀、金の三種から成る。金銅製小塔片は塔に関わる資料であり、ここでの日本・法隆寺五重木塔との比較は、屋根瓦の溝と破風棟の装飾に限られる。観音菩薩立像の年代や国宝指定、舎利容器の素材、小塔片の二つの建築的細部を別々に確認すると、展示室3が仏像、寺院、塔、舎利容器を通じて組み立てる内容を、過度に一般化せずに読み取れる。

百済の仏教美術と建築資料を扱う展示の細部
仏像、塔、瓦、舎利容器を、王都の物質資料として読み直す。

文脈 04

瓦と舎利容器が残す王都の輪郭

鳳凰山水文塼は、扶余郡窺岩面外里から出土した百済の建築材料で、山水と鳳凰の文様を組み合わせる。外里出土のこの塼は、仏像や香炉とは異なる建築材料として、百済の建築に関わる造形を示す。百済金銅大香炉にも山や鳳凰が表されるが、香炉と鳳凰山水文塼は出土した場所と用途が異なる資料である。山や鳳凰という共通する造形だけで、器物である香炉と建築材料である塼を同じ資料種別として扱うことはできない。

王興寺址の舎利容器は、青銅、銀、金の舎利容器からなる。博物館は王興寺を白馬江のそばにあった王室仏教寺院と説明し、展示室3はその舎利容器を仏像、寺院、塔とともに百済の仏教文化を示す資料として扱う。外里出土の鳳凰山水文塼と王興寺址の舎利容器は同一の資料ではないが、前者は建築材料、後者は王室仏教寺院に関わる青銅・銀・金の容器として、扶余に関わる異なる素材と用途を示す。塼と舎利容器を区別したまま並べることで、扶余の王都文化を器物、人物像、寺院資料、建築材料の複数の証拠から確認できる。

鳳凰山水文塼を手がかりにする場合、まず扶余郡窺岩面外里から出土した百済の建築材料であることを押さえる必要がある。山水と鳳凰を組み合わせた文様は、この塼の装飾に関する情報であり、塼そのものの素材や寺院名を示すものではない。これに対して王興寺址の舎利容器は、白馬江のそばにあった王室仏教寺院に関わる青銅、銀、金の容器である。建築に用いられた塼と、舎利を納める容器では、用途も資料の扱い方も異なる。鳳凰という造形の一致だけで両者を直接結び付けず、外里の出土地点、山水を含む装飾、王興寺の位置、三種の容器という順に確認すれば、扶余に残る建築材料と寺院資料の差異を具体的にたどることができる。

公式情報

国立扶余博物館

国立扶余博物館

博物館の役割と、扶余を含む忠清南道西部の百済文化遺産について確認できる。

展示室2

国立扶余博物館

泗沘への遷都、陵山里寺址、王室の葬送文化、銘文資料の展示上の位置付けを確認できる。

百済金銅大香炉館

国立扶余博物館

百済金銅大香炉の発見、造形、専用館の構成について確認できる。

展示室3

国立扶余博物館

百済の仏教美術、金銅観音菩薩立像、小塔片、王興寺址出土の舎利容器を確認できる。

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